絶対恐怖 Booth ブース

勝又真吾は、深夜ラジオ番組『東京ラブコレクション』の人気パーソナリティー。その日、局の都合でDJブースが急に変更になった。そのブースは、開局当時、アナウンサーが怪死を遂げたという、いわくつきのブースだったのだ。“許せない一言”をテーマにリスナーから恋愛相談を受けるコーナーで、電話がかかり始め、真吾の生放送は、いつものようにスタートした。小学生の少女の悩みを聞いている真吾の耳に、いきなり怪しい女の声が聞こえてくる。薄気味悪い笑い。キーキーという金属が擦れあう音。「嘘つき。嘘ばっかりついて…」とその声は言った。混線なのか?それとも…。混乱するブース。しかし、番組を中断することはできない。リスナーからの電話は、真吾の記憶を刺激するのだった。真吾は、この番組のニュースコーナーを担当している馬淵美保子アナウンサーが好きだった。そして、美保子を彼女の婚約者から奪い、結果的には彼女を捨てたのだ。その時、美保子は「嘘つき。嘘ばっかりついて…」と言ったという記憶。届くメールやファックスは、薄気味悪い声の話題ばかりだった。“心霊特集”はやらない、と怒鳴り、勝手に番組をすすめる真吾。実は、真吾は美保子を、車から突き落とし、喘ぐ美保子を車が引きずってしまった。そして、車に引きずられた美穂子の体は、崖から海へ落ちていった。刑事の姿に怯え、スタッフの誰もが、自分を陥れようとしているように思えた。陥れられるその原因は、真吾の傲慢な身勝手な言動が発端なのだ。逃げ場のないブース。その目に、死んだはずの美保子の姿が映った時、真吾の精神は崩壊するのだった。